朝食講演会 レジュメ
日本シャネル社長 リシャール・コラス氏
「ビジネスマンの視点と小説家の視点」
2007年7月6日 金曜日
序文
リシャール・コラス氏(日本シャネル社長)は、日本で成功したフランス高級ブランドのシンボルです。
日本の社会・経済・政治などの特異も、日本に30年以上住む彼には隠すことができません。日本人の歴史、プレステージ、伝統的ノウハウに対する感性を熟知する彼は、迷うことなく東京の中心地銀座へのシャネル出店を決めました。また、コラス氏はEBC(欧州ビジネス協会)会長でもあり、日本における欧州財界のリーダーとして、日本政府に対してヨーロッパの利益を擁護していす。さらにコラス氏には、小説家というもう一つの顔があります。現在、彼は自身が熟知する日本という国を、小説を書くことにより紹介しています。
レジュメ
2007年7月6日(金曜日)、パリ商工会議所内で行われた日仏経済交流委員会主催の朝食講演会において日本シャネル社長リシャール・コラス氏が「ビジネスマンの視点と小説家の視点」と題する講演を行いました。
EBC(欧州ビジネス協会)会長として、欧州の経済問題に関する日本の首相の対話者であるリシャール・コラス氏Saint-Guyは、ご自身をじっとしていられない行動派だと自己紹介した後、他の高級ブランド同様、シャネルが直面する日本における大きな変化について語りました。
EBC(欧州ビジネス協会)会長として、欧州の経済問題に関する日本の首相の対話者であるリシャール・コラス氏Saint-Guyは、ご自身をじっとしていられない行動派だと自己紹介した後、他の高級ブランド同様、シャネルが直面する日本における大きな変化について語りました。
日本は金融バブル崩壊後、少子高齢化が進み、静けさを取り戻しています。
物事をあまり深く捉えないということも日本人の特長のひとつです。
今日、日本人はこの美徳を取り戻し、平静さを取り戻しました。
現在日本はくつろぎ、落ち着き、心地ちよさといった新たな価値観に向かって進んでいます。2000年代初頭に現われた大きな潮流は確実なものとなってきました。
また、お客様の高級品に対する捉え方は変化しています。シャネルでは、このことを東京の中心地とも言える銀座で感じとリました。
そのため、日本の消費者に近づく方法を真剣に見直し、快楽主義的アプローチを推し進める必要があります。
「シャネルでは、まずお客様が立ち寄りやすいよう店舗に駐車場を設置することを決めました。
次に、グルメな日本人のため、アラン・デュカスとの画期的コラボレートである「ベージュ・アラン・デュカス 東京」をオープンさせました(ベージュはココ・シャネルのお気に入りのカラーでした)。
この秋、初出版される「ミシュラン東京」において、同店が高く評価されることを望んでいます。
さらに、シャネルに知的なイメージを加えるため、展示会やコンサートが行える400m2の多目的ホールを創設しました。
無名時代のジャン・コクトー、セルゲイ・ディアギレフ、イーゴリ・ストラヴィンスキーらを支援し、芸術のピグマリオン(訳注:ギリシャ神話に登場する自作の像に恋した王のことで、才能を信じ、支援し、開花させる人との意味)と呼ばれたガブリエル・シャネル(通称ココ・シャネル)の精神を受け継ぎ、クラシック音楽と写真という2つの分野を中心とした「出会いの場」を創設しました。クラシック音楽の若手演奏家に発表の場であり(入場無料、予約制)、プロも気軽に立ち寄れるコンサートを開き、毎年5名のアーチストが50回演奏を行います。写真はココ・シャネルも支援した芸術です。
そのアプローチは、因習を打ち破るものであり、有名写真家と、繊細なカメラワークと非常に優しい視点により、日本女性と高級ブランドの関係をカメラに捉えるシャンタル・ストマンなど無名な写真家の展示を交互に行っています。
日本のお客様は目が肥えています。2006年はモードにとって困難な年でしたが、我々は単に販売を行うのではなく、アプローチと戦略を変えなくて行かなくてはなりません。
かつて、高級ブランドには神秘性がありました。
しかし現在では、特に「物」に魂が宿ると考える日本人に対して、私たちが特別な存在であるということを分かってもらう必要があります。
また、ユーロ高と言う現状も考慮しなければなりません。350~400ユーロであった商品が、現在600~700ユーロになっています。
現在、供給は下方傾向にありますが、シャネルでは反対の方向に進み、世界で最も要求が厳しい日本の消費者を満足させるため、最高の高級品を目指す方針を定めました。
例えば、我々は小型ファンシージュエリーの販売をやめ、オート・クチュール並みのプレステージの高さを追求するよう決めました。
また、30年代にダイヤモンド・コレクションを創設したココ・シャネル・ラインにおいては、15年前から時計・高級宝飾部門が拡大中です。今年の販売額は最高でした。
日本に最先端の研究所を設立したおかげで、口紅、ファンデーション、香水で市場第1位、ケア製品で第3位を誇っています。
そして、200の販売拠点のみで入手できるシャネルの化粧品は、資生堂に次いで日本市場第2位です。
コラス氏は日本シャネル社長となったことが幸運であり、幸福であると述べた後、市場の変化により、問題点の根本的な見直しと、新しいアイデアの必要性について語りました。
「シャネルのイメージを崩さない」という視点も忘れてはなりません。シャネル・ブランドは、常に高いプレステージと豪華さを目指しています。
日本では商品やサービスに対して高いクオリティーが求められます。
消費者の目は厳しく、欠陥が存在する余地はありません。「その価値の高さについて理由を説明する必要があります」。また、「人間の仕事を尊重するというシャネル精神の一環から、我々は建物の建設に参加したすべての人の名を大理石に刻みました。」と述べました。
日本に30年以上住むリシャール・コラス氏は、書くことにより熟知する日本という国を紹介しています。
処女小説(「遥かなる航跡」Editions du Seuil)の著者である日本シャネルの社長により、聴衆のため講演を行うことを承諾いただきました。