後藤 豊
4月29日はイギリスのロイヤルウェディングで世界中が盛り上がりましたが、日本では5月5日までのゴールデンウィークの幕開けの日でした。その日に、震災で停止していた東北新幹線が全線復旧しました。東北新幹線が新青森まで延長されて、観光客誘致に盛り上がっていた6日後に東日本大震災が発生して停止していました。少しずつ復旧していましたが、最後に残った仙台と一関の間が復旧して、東京から新青森まで全線が復旧しました。駅やホーム、更には変電所が壊れ、寸断された線路は1,750か所にも上ったそうです。曲がった線路は取り替えるのではなく、手で打って修復するのだそうです。1995年の阪神大震災の際は新大阪―姫路間の91.7kmを修復するのに3か月掛かりました。今回は東京―新青森間713.7kmを49日間で修復したのですから、異例の速さだったといえます。東日本大震災の当日の夜、地下鉄や民営の鉄道が少しずつ復旧する中、JRだけが当日中の復旧はないと宣言し、駅のシャッターを下ろしたことに批判が起こっただけに、東北新幹線の早い復旧は立派でした。震災の翌日3月12日には日本の南の九州新幹線が開通して、北海道と四国は除きますが、東北の青森から九州の鹿児島まで新幹線が繋がりました。
ゴールデンウィーク初日の29日、高速道路は例年通り混雑し、東北自動車道も30kmを超える渋滞が発生するほど混雑しました。テレビのインタビューに、「こういう時だからこそ東北に旅行してお金を使おうと思った。」と答えているひともいました。ゴールデンウィークを利用して、被災地で手伝いをするボランティアが全国から集まり、頼めるような仕事が不足するほどでした。また連休を利用して故郷を訪問するひとも多く、被災地の市街でも渋滞が起きていました。
震災後多くの企業が義援金や物資を送りましたが、社員のボランティア活動を支援する企業も多いです。ロート製薬は震災復興支援室を設けました。役員報酬の10%(4,000万円)を返上して震災遺児の支援に当て、そのために社員6人が専従します。三菱商事では、延べ1,200人の社員が被災地でがれきの撤去などの手伝いをします。「震災復興支援基金」を設立し、今後4年間で100億円を義援金や学生の奨学金に充てるそうです。
アメリカのTIME誌が4月21日の特別号で「世界で最も影響力のある100人」を発表しましたが、その中に、福島県南相馬市の桜井勝延市長がいました。被災直後の情報や物資不足をカメラに向かって訴え、ユーチューブに投稿し、世界各地に福島の窮状が伝わりました。もう一人、菅野武医師も選ばれました。壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町の志津川病院で、最後まで残って診療を続けました。
海外からのアーティストの来日の多くがキャンセルされましたが、その中でプラシド・ドミンゴがこういう時こそ日本に行って元気になってほしいと4月10日のNHKホールでコンサートをし、アンコールでは日本の童謡「故郷(ふるさと)」を歌い、多くの観客の涙を誘いました。
また読売日本交響楽団の常任指揮者であるフランス人シルヴァン・カンブルラン(Sylvain Cambreling)も来日し、4月16日と18日に指揮しました。キャンセルが多い中、嬉しいことです
原発の現場での作業をしている人たちは厳しい作業環境の中、強い使命感を持って働き続けていて、実に頭が下がります。被曝量が一定以上にならないように管理はしていますが、不安は消えません。そのため今月から国内外の技術を使ったロボットが導入されます。無人放水車や放射線測量ロボットなどです。
震災後休園していた東京ディズニーランドとディズニーシーがゴールデンウィーク前日の4月28日に開園しました。地震が起きた時に、7万人がいましたが、
誘導がきちんとしていて、寒さしのぎのためのアルミフォイル製のレインコートや傘を配ったため、評判を上げました。日頃の訓練と咄嗟の判断が大切という一例です。開園するにあたり、夜のエレクトリカル・パレードの山車には発電機を備えるなど節電に努めているそうです。
LED電球が売れています。4月第2週の調査ではLED電球の売り上げが全国で前年同期比2.2倍、計画停電が実施されている関東甲信越で2.8倍となっています。LED電球の電球全体に対する売り上げ比率は数量ベースで27%、金額ベースで67%です。消費電力が白熱電球の8分の1で済むのですが、値段が高いのが難点でした。1年半前に4,000円もしたものが、量産効果で2,000円前後にまで下がったのに加え、今回の震災による節電の必要性が浸透したからです。
充電して45km走れる電動バイク(99,800円)やオセロ、ルービックキューブなど室内で電気無しで遊べるアナログのゲームが売れているそうです。
東北地方では原発から遠く離れている地方でも観光業、農業、漁業など風評被害に合っています。海外では日本の中の位置など認識されていないので、日本の南にあり、福島から800km以上離れている四国で生産されたタオルがイタリアの税関でストップされ、放射線検査を要求されたのはほんの一例です。パリでもル・モンドが「パリの日本のレストラン客数激減」と書いたら、その後本当に激減してしまったと、有名日本食レストランのオーナーが連絡してきました。日本食の食材の輸入についても検査が強化されて、入手が困難になってきたそうです。フランスの日本食レストランを避ける理由は全くありません。今まで通り、いや今まで以上に日本食レストランで日本食を楽しんでください。
第十回 :: フィットネスクラブ事情
第九回 :: 節電生活
第八回 :: 大震災から学んだこと
第一回 :: 日本の電車事情
第二回 :: 日本の最新トイレ事情
第三回 :: 地震に遭遇したら
第四回 :: 地震と原発
第五回 :: 地震、その後の生活―1#
第六回 :: 地震、その後の生活―2#
第七回 :: 地震、その後の生活―3#